シリーズ 青葉山 105  カクミノスノキ 


 

 

 
の季節、雑木林を歩くにはちょっとした覚悟がいる。ヤブカの盛大な歓迎を受けるからだ。雨がやんで蒸し暑い林内に足を踏み入れると、案の定、やって来た。

ヤブカを手で払いのけながら足元を見ると、不思議な形をした赤い実が顔を見せている。カクミノスノキだ。

普通の木や草の実と違い、こちらは角ばっている。先の方は、がくの名残でくぼみができていた。あと数日、実が成熟すると、角がとれて丸くなり、食べられる。

 

各地の山林の中に生える、ツツジ科の落葉低木。「酢の木」は、葉に酸味があるところからきた名。


 

 (河北新報社提供 初出 1991.7.23)

 

カクミノスノキ(コウスノキ)
Vaccinium hirtum Thunb. ex Murray var. hirtum
ツツジ科

離山などのアカマツ−コナラ林、少し乾いたコナラ林にややふつう。

岩手県以南の林縁や日当たりの良い岩地に生育します。ウスノキ(Vaccinium hirtum Thunb. var. pubescens)との中間的な形態を表すものも多く両種の区別はしばしば困難なことがあります。