シリーズ 青葉山 107  オカトラノオ 


 

 

 
し暑い林の午後。湿った南東の風が夏草を揺らし、間断なく鳴き続けるセミの声を運んでくる。

 

雑木林を見渡すと、ポッカリと空をのぞかせた林床にオカトラノオが咲き誇っていた。

1cmほどの小さな花が集まった花穂は、なぜかみんな同じ方向を向いている。5つに深く裂けた花は、基部の方から先端に向けて順番に咲いていく。

 

小さな花なのによほど甘い蜜を出すのだろう。ヒラタアブやアゲハチョウ、タテハチョウの仲間がひっきりなしに蜜を求めてやってくる。


日当たりの良い山野に普通に見られるサクラソウ科の多年草。
 

 (河北新報社提供 初出 1991.7.25)

 

オカトラノオ
Lysimachia clethroides Duby
サクラソウ科

工学部ポンプ室周辺などの草地や路傍にややふつう。

丘のような場所に群落状に生育し、風になびく一面の白い花序はたいへん涼しげに見えます。和名は花序を「虎の尾」に見立てたもので、他にもネコノシッポなどと呼ぶ地域もあります。北海道〜九州、東アジアに分布しています。