東北アジア研究センター 内藤寛子
ある地域の特殊性・普遍性を理解する最も単純な方法は「比較」である。「比較」とは、①時間軸と②地域間によるものに分けられ、さらに、その手法は、①質的分析と②量的分析となる。地域研究者は、自身が持つ道具の種類を増やすとともに、インターディシプリンな共同研究を求められる。
こうした認識に基づき、本プロジェクトは、人文社会科学系に所属する地域研究者と理論研究者との共同研究を模索するプラットフォームを設け、新しい地域研究の発信を行うことを目指す。本プロジェクトの特徴は、縦割りであった人文社会科学系内の研究領域を、多様な分析手法を用いて横断することで、より豊かな地域理解を生み出すことである。このような共同研究の実践は、実証分析を重視する日本国内のみならず、理論研究ならびにミッスクメソードを展開する欧米の学術空間に対しても競争力を持つと考える。
一方で、インターディシプリンな研究には、個々の学問領域に対する探求が浅くなるという欠点もある。この欠点を鑑みると、東北大学のような個々の学問領域を積み上げている場所にこそ、インターディシプリンな研究を発展させ得る素地があると考える。したがって、本プロジェクトは東北大学の研究力強化に資すると考える。
本プロジェクトは、東北アジアを主たる地域として展開するが、歴史、社会実相、理論、分析手法といった比較を通じて幅広い地域・領域を射程に入れている。具体的には、研究報告や輪読を通じ、参加者のもつ理論的背景(discipline)や分析手法(method)の共有を行う。
人文科学系の若手研究者
・時間軸:考古学、歴史学文化人類学、社会学、政治学
・地域:東北アジア、東南アジア、アフリカ、中東など
・分析手法:質的分析(ハード(文字資料)、ソフト(参与観察))、量的分析(統 計、プログラミング)
2018年度春
・各自の研究報告を実施するとともに、研究者同士の交流を深める。
2018年度夏
・各自が自身の学問領域を代表する文献を持ち寄り、輪読。
・共同研究に向けた計画を立てる。
2018年度秋~2019年度春
・地域理解を深めることを目的とした共同研究を立ち上げ、成果を出す(共著出版、論文投稿、学会パネルなど)
東北アジア研究センター 内藤 寛子
メールアドレス::hiroko.naito.d1*tohoku.ac.jp (*を@に置き換えてください)
開催日時:2018年9月17日
開催場所:SOAS University of London, London, UK
タイトル:「インターディシプリンによる新しい地域研究の研究手法の探求」ワークショップ
主催者:内藤 寛子(東北アジア研究センター助教)