磁性薄膜におけるスピンダイナミクスは,基礎と応用の両面から注目されています。このダイナミクスは,磁化の歳差運動トルクと減衰トルクからなる現象論的なランダウ-リフシッツ-ギルバート(LLG)方程式によって記述されます。特に,減衰トルクの強さを表すギルバート減衰定数(α)は,ダイナミクスを予測する上で重要なパラメータの一つです。我々は,αの起源を明らかにするために,新たな測定技術を提案し,αと飽和磁歪定数λsとの関連について研究しています。
軟磁性アモルファス微粒子の合成技術とその高周波磁気特性評価技術について研究しています。この微粒子の特徴は、高い飽和磁化と高い周波数帯域で損失を低減するためのサブミクロンのサイズです。
電気電子デバイスでは,常に電圧や電流の制御が求められます。なかでも磁性材料を利用したインダクタ(磁性インダクタ)は,それらを安定化するために必要不可欠な素子です。我々のグループでは,小型かつ低消費電力な次世代デバイスの実現に向けて,新しい磁性材料の開発と,その応用方法の確立について検討し,小型かつ高いエネルギー密度,低損失で高周波な磁性インダクタの開発に取り組んでいます。
電気電子機器内外で生じる高い周波数の信号は,不要な電磁波(ノイズ)を放射して他の機器や回路の動作を妨害する可能性があります。また,同時に他の回路から妨害を受ける可能性があります。私達のグループでは,電磁波の発生および伝搬,妨害を受ける側の問題などについて検討し,新しい材料を用いて電磁界を適切に制御する方法を提案しています。