笠田研究室修士2年の松戸玲菜です。
2022年1月より、ハワイ大学マノア校にて交換留学をしています。
1年間研究生活とは離れてしまっているのですが、留学を考えている方に向けて私の体験談を記していければと思います。
留学までの経緯
元々高校時代から留学に興味があったので、学びたい学問があり留学制度の充実した東北大学に入学しました。高校時代ケンブリッジ大学を訪問した際に出会った日本人の方が「とあるきっかけで出会った研究分野にどっぷりハマってケンブリッジでポスドクをしている」とお話しなさっているのを聞き、あまりにもキラキラしたその姿に憧れを抱いて自分も留学を志すようになりました。
長期留学に向けて、学部生時代はSAP(東北大学留学生課主催の短期留学制度)のグループ留学に参加したり、ドイツのサマースクールで3週間の単身留学をしたりと段階を踏んで経験値を踏んできました。SAPは終始ひたすら楽しかった思い出しかないのですが、ドイツでの留学は英語が流暢に話せて自分の意見をはっきりと表明するドイツの学生の前でただ黙っていることしかできずかなり悔しい思いをしたのを覚えています。次はリベンジするんだという気持ちで長期留学への応募を決意しました。
大学4年生の時にコロナが流行ってしまったこともあり、過去に2度ほど第一志望の大学から受け入れを断られてしまうこともありながら、なんとか受け入れてくださったハワイ大学に留学を決めました。
実際の留学の様子
勉強のことについて
私は大学間交換留学制度を利用しているので、留学先大学で学部の範囲を超えて自由に授業を選択することができます。私の場合、工学の扱い方や経済的な部分を学びたかったので専門である材料や量子、機械の分野以外の講義を受講しています。
以下では私が受講した授業について紹介していきます。
1月からの春学期に受けた授業
- マネジメントエンジニアリング
- 海軍造船所の無差別銃撃事件に対する対応策を考案するグループワーク
- ビジネスモデルの1つである「リーンスタートアップ」の手法を用いてプロジェクトを進めていく。
具体的には…- 50人の関係者及び専門家に自らアポをとってインタビュー
- 毎週木曜日に進捗発表のプレゼンテーション
- 海軍造船所の無差別銃撃事件に対する対応策を考案するグループワーク
- ミクロ経済学
- 経済学の一番最初の部分
- 家計や企業の行動と意思決定に関するもの
- 例えや登場する歴史的背景がほぼアメリカやハワイに関するもので経済以外の部分で苦戦しました。
- 唯一筆記試験(選択と記述)がありました。授業内容に対する勉強より制限時間以内に回答する練習の方が大変でした。
- リスニング&スピーキング
- 留学生が義務的に受けなくてはいけない授業(語学スコアによっては免除有)
- 多国籍だったがハワイなので東アジアの留学生が多数
- このクラスがきっかけで交換留学生同士のつながりがかなり広がりました。
- 課題への取り組み方や考え方が国によって違うので成果の質にかなりばらつきがあったのが興味深かったです。
- ライティング
- 上記同様に受講義務があった授業
- アカデミックなライティングに関する基本スキルについて学び実践する。合計3本のエッセイを仕上げました。
- 講師が日本人の現地大学院生だったので授業に関するものだけでなく生活やキャリアの相談もできました。
普段の生活について
平日・土日空いた時間は課題や自主勉強をしていることが多かったです。課題内容そのものが複雑で難解というわけではなく、英語力不足のために授業やチームミーティングの録音を聞き直したり、前後の授業の前提知識を補うために調べ物をしたりするのでかなり時間を費やしました。
とはいえ四六時中勉強していたわけではなく、午後休や土日にはビーチや山登り、美術館巡りなどハワイでの生活を満喫できていたと思います。国際交流コミュニティに入ったので、毎週行われる交流会やキャンプといった活動を通じて色んな国の友達にも出会えました。
元々内向的なので新しいコミュニティに入るのは正直かなり億劫だったのですが、近藤先生に言われてた「めんどくさいと思うことこそやった方がいい」という言葉を信じて入ってみて良かったです。
ここまでの留学生活で感じてきたことについて
コロナやウクライナ情勢、円安といった目まぐるしい世界情勢の影響をもろに受ける羽目になった今回の留学生活だからこそ、自分の無知を自覚する人生の転換点になっていると感じます。
留学に来てからより一層社会に対して関心を持つようになりました。暇さえあれば色んな地域の歴史や宗教、世界の経済状況や日本の政治について勉強しています。これらは留学なんてしなくても家の中で簡単に調べられるものではあるのですが、ハワイに来て、円安×米国のインフレの打撃を食らってちょっと生活が苦しくなってみたり、ロシア人の友達がすごく申し訳なさそうに今の情勢を口にするのを「あなたのせいじゃないよ」と励まし合ったり、留学生がネイティブのルームメイトに何にも言えなくなってるという話を聞いたり、これらの直接的な体験がなければ学ぶきっかけが得られなかったのではないかと感じています。「私は科学のフィールドで生きていくから政治や経済のことは文系の人にお任せしますね」という消極的な態度は取るのではなく、積極的に社会に「口出し」することが今のどの若者にも求められてくるのではないでしょうか。
確かに情勢は厳しい状況ではありますが、それでも私が留学を選択できたというのは非常に恵まれていたことです。事務的な手続き等でご支援くださった笠田先生やアメリカ生活のアドバイスをくださった近藤先生、制度を用意してくださっている大学や奨学金支援機構、留学を承認してくれて経済的・精神的なサポートをしてくれている家族や親族や応援してくれている友人への感謝を忘れず残りの留学生活を送りたいと思います。
留学を考えている方に向けて
これは相談されたらよくお伝えすることなのですが、「留学に行ってみたい」と思えること自体が割と珍しいことらしいのです。行くのが難しいから留学している人が少ないのではなく「行ってみたい」と思う人が少ないだけで、留学を支援する制度は山のようにあります。私自身これといった得意分野もなければ語学に秀でているわけでもありません。純粋にやってみたいと思ったことは気持ちに従って挑戦すべきだと思います。
もう留学を決めた方についてはとにかく現地の言葉の勉強を頑張っていただきたいです。私は「そもそも英語が話せるようになるためにアメリカ行くんだもん」と高を括ってあまり準備していなかったのですが、会話の中でわからないことが多すぎるとめんどくさくなって結局「わかったふり」に頼る羽目になります。言葉は慣れれば慣れるほど相手の真意がくみ取れるようになって楽しいので出来る限りの準備はした方が良いと思います。
拙い文章で大変恐縮ではありますが、どなたかの参考になれば幸いです。
12月に研究室の皆様にお会いできるのを楽しみにしております!