Remountable high temperature superconducting magnet - 分割型高温超伝導マグネット


Page 1 : 核融合炉における超伝導マグネット
Page 2 : 分割型高温超伝導マグネット
Page 3 : 高温超伝導導体の着脱可能な接合法の研究

Page 4 : 金属多孔質体を用いた
極低温冷媒熱伝達促進法の研究


Page 5 : 分割型高温超伝導マグネットの設計検討
Page 6 : 超伝導機器応用


分割型高温超伝導マグネットにおける発熱問題

 分割型高温超伝導マグネットでは、マグネットのパーツの再着脱を可能とするため、 機械的接合や冶金的接合を接合法として採用する予定です。 これらの接合法では、接合部の抵抗をゼロにはできないため、接合部で局所的な発熱が起こります。 この発熱により、超伝導マグネットのクエンチ(急激な温度上昇により、超伝導体の臨界温度を超えて、 常伝導転移してしまうこと)が引き起こされないようにしなければ、分割型高温超伝導マグネットは 実現できません。 当研究室では、局所発熱する接合部の冷却法として、金属多孔質体を用いた極低温冷媒の熱伝達促進 技術を研究しています。


金属多孔質体を用いた液体窒素熱伝達促進技術

 金属多孔質体を用いた熱伝達促進技術の研究は、元々、当研究室で核融合炉のダイバータの冷却のために 研究されていたものです。(金属多孔質体を用いた熱伝達促進技術の特徴については、 ダイバータ冷却のページをご覧ください。)

 金属多孔質体には伝熱面積の拡大の効果、毛細管作用による膜沸騰遷移の防止の効果があるため、 金属多孔質体を冷却流路に設置することは、膜沸騰状態に遷移しやすい極低温冷媒(液体窒素・液体水素・液体ヘリウムなど)を用いての 高熱流束除去に適した方法であると我々は考えています。

 現在、実用化されている高温超伝導線材を用いて分割型高温超伝導マグネットを製作した場合、核融合炉で使用するためには 20 K程度の温度で運転しなければなりません。この温度域で使用できる冷媒としては、液体水素やヘリウムガスなどがありますが、 実際にどの冷媒を使用するかは冷媒のコスト・危険性なども加味して判断する必要があります。

 さて、上記のような20Kで用いる冷媒は、取り扱いが難しく、また高コストでもありますので、本研究室では、分割型高温超伝導マグネット用の 極低温冷媒伝熱促進技術の基礎研究として、まずは液体窒素を用いての実験(図4-1)を行っております。 金属多孔質体による液体窒素熱伝達促進技術の研究によって得られた結果によって、他の冷媒を用いた場合の熱伝達促進の状況を 予想することができると考えられます。また、液体窒素を冷媒として用いる超伝導機器は他にもたくさんあり、そのような超伝導機器に おいて局所的に発熱する箇所を冷却する必要がある場合、実験結果による知見をそのまま適用することが可能です。

図4-1 金属多孔質体を用いた液体窒素冷却流路の概念図


実験装置と実験結果の例

 当研究室では、金属多孔質体を用いた液体窒素熱伝達促進技術の研究を行うために、 以下の図のような液体窒素(LN2)のループを用いて実験を行っております。

図4-2 実験装置全体

図4-3 試験部詳細


 上記、実験装置を用いて得られた実験結果の例を以下に示します。 金属多孔質体を用いることで、平滑管に比べて5倍程度の限界熱流束、熱伝達率を達成することができます。


図4-4 実験結果の例


接合部熱解析

 上記実験結果、および接合試験での実験結果を用いて、分割型高温超伝導マグネットの 接合部の熱解析(温度分布評価)も行っております。 以下の熱解析の結果は金属多孔質体を設置することで、接合部の温度上昇を抑えることが できることを示しています。

図4-5 熱解析の例



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