機構設立の背景
東日本大震災からの復旧・復興のため、東北大学の全学的な取組みとして、「災害復興新生研究機構」(図1)が創設されました。この組織の目的 は「東日本大震災の被災地域における中核大学として、復興・地域再生を先導する研究・教育・社会貢献に戦略的かつ組織的に取り組み、その成果を発信・実践する」 ことであり、政府の「復興構想会議」、自治体の「復興計画」と一体となって、震災復興に取り組むことにあります。その理念は、大災害からの復興、地域再生に被災地の知の拠点としての貢献、更には災害復興に関する総合研究開発拠点として世界的COEを形成することです。これを具現化するために、各部局から提案された復興プログラムが八つのプロジェクト(図2)にまとめられ、重点的に研究開発を推進することとなりました。
機構設立の趣旨
今回の大震災では、世界最先端の情報通信ネットワークもその脆弱性をあらわにし、携帯電話や光回線等の情報通信ネットワークが寸断され、国民が必要とする通信サービスに大きな制約が生じるなど、多大な課題を残しました。その課題を解決するため、本学の災害復興新生研究機構のプロジェクトには、情報通信の復興に向けての「情報通信再構築プロジェクト」が組み入れられております。「情報通信再構築プロジェクト」を通じて、被災地のニーズを吸い上げ、「災害に強い情報通信ネットワーク」を実現することが、震災後に課せられた本学の電気・情報系研究者である我々の使命であり、全力で取り組むべき課題であると同時に喫緊の責務であると考えております。
「災害に強い情報通信ネットワーク」の実現には、課題解決型の総合力の発揮が必要不可欠であるため、工学研究科、情報科学研究科、医工学研究科、電気通信研究所など複数の部局にまたがる電気・情報系の研究者を「透明な環」によってリンクさせ、関連研究者や組織間の綿密かつ柔軟な連携を可能とする新たな組織として、2011年10月1日に、東北大学電気通信研究機構(図3)を創設いたしました。この機構は、産学官連携のもと、オールジャパン体制での取り組みを旨とし、学内の英知を結集し、関連地方自治体、民間企業、公的研究機関、他大学の参画を得て、世界で最も進んだ「災害に強い情報通信ネットワークの構築」を目指しております。被災地である東北地方の情報通信・エレクトロニクス産業の興隆、更には、我が国における新しい情報通信・ エレクトロニクス分野の産業創出、世界をリードする革新的研究開発に貢献することで、東北大学が目指す創造的復興への一翼を担うと共に、創造的・革新的な科学技術の発展、及びその実用化を全力で推進致します。