Sr2IrO4の超交換相互作用
Sr2IrO4は層状ペロブスカイト構造を持つT N = 240 Kの反強磁性モット絶縁体である。その重要なパラメータである超交換相互作用を中性子非弾性散乱より決定することは、イリジウムが中性子を吸収するため困難であった。そこで、光学測定により決定することを試みた。
図1に示すように、赤外透過スペクトルの1850 cm-1付近に、T N以下で発達するフォノンアシストマグノン吸収を観測し、超交換相互作用としてJ ~57 meVを得た。この値は銅酸化物超電導体母物質における値の半分程度であり、イリジウム酸化物を超伝導化した際には高い転移温度を有することが期待される。
図1: Sr2IrO4の赤外透過スペクトル
<参照文献>
- “Observation of Phonon-Assisted Magnon Absorption in Spin-Orbit Coupling Induced Mott Insulator Sr2IrO4”, Yasuyuki Hirata, Hiroyuki Tajima, and Kenya Ohgushi, J. Phys. Soc. Jpn, 82 035002 (2013).