新超伝導体HgxReO3の高圧合成
高圧合成法を駆使し、新物質Hgx ReO3(x = 0.44)を発見した。同物質が常圧下で7.7 K (高圧下で11.1 K)において超伝導転移を示すことを見出し(図1)、六方晶ブロンズファミリーの転移温度更新に成功した。
格子比熱の解析からReO3フレームワークが作るトンネル構造内に位置するHgのラットリング運動が顕著であることが明らかとなり(図2)、これが高温超伝導の起源となっている可能性がある。また、Reの5d 電子に加えてHgの6s電子も電気伝導を担っていることが予想され、「伝導電子を付帯するラットリング原子」という新しいパラダイムを提示している。
図1: Hgx ReO3の温度依存性
図2: Hgのラットリング運動
<参照文献>
- “Superconducting Phase at 7.7 K in the HgxReO3 Compound with a Hexagonal Bronze Structure ”
Kenya Ohgushi, Ayako Yamamoto, Yoko Kiuchi, Chandreyee Ganguli, Kazuyuki Matsubayashi, Yoshiya Uwatoko, and Hidenori Takagi, Phys. Rev. Lett. 106, 017001 (2011). [Selected as an Editors’ Suggestion] - See aloso RIKEN Research Highlight. http://www.rikenresearch.riken.jp/jpn/research/6570