村田町東部の新川流域を中心とする玉髄原産地に後期旧石器時代の遺跡が点在しています。1990年以降、藤原二郎・高橋健寿両氏らによる踏査などで、東西約1km、南北約4kmの範囲で7か所の遺跡が見つかりました。1993年には東北歴史資料館(現東北歴史博物館)が賀篭沢遺跡・山入A遺跡を、2003~2006年には東北学院大学が賀篭沢遺跡の発掘調査を実施しています。遺跡の近くで得られた玉髄を利用した石刃剥離作業が行われていたようです。一子沢遺跡もそうした遺跡の1つで、1990年に発見されました。
一子沢遺跡では400点以上の石器が表面採集されています。なかでも、玉髄製の石刃を素材とするナイフ形石器が注目されます。2024年から東北大学考古学研究室が主体となって調査を行っています。調査では①遺跡内の遺物包含層の広がりの把握、②遺跡内での玉髄の利用状況(石器の製作工程、製作技術)の理解、③石器群の年代の特定(火山灰との関係の把握と放射性炭素年代測定の実施)を主な目的としています。
遺跡内の土層の堆積状況などを確認しながら、7つの地点に調査区を設けた。このうち、TP03調査区からは石核や石刃などの玉髄製石器が30点以上出土した。 |