研究内容
RESEARCH CONTENTS
樹木の年輪から過去の環境を探る年輪年代学的研究
年輪年代学は、樹木年輪を利用した高精度年代測定法であると同時に、年輪に記録された古環境情報を研究する分野です。
現在、日本産ヒノキ科樹木を対象に、日本各地で2000年を超える標準年輪曲線(標準的な年輪変動のパターン)の構築とそのネットワーク化、肥大成長の気候応答、古気候復元に取り組んでいます。
これまでの研究で、東日本を中心に過去2000年間の標準年輪曲線構築に目途が立ち、遺跡等から出土する木質遺物の年代測定を行える状況になってきました。
同時に、これらの曲線をネットワーク化し、年輪変動の地域差を解析する事で、木材産地推定が可能か検討しています。
また、平行して進めている年輪気候学的解析により、ヒノキ科樹木の肥大成長は、春気温の影響を強く受けることや、標準年輪曲線を利用して春気温の復元が可能であることが明らかになってきました。
このような研究は、過去の気候変動を明らかにするだけでなく、今後予想される地球温暖化の影響下での樹木成長の予測や、温暖化の将来予測にも役立ちます。