シリーズ 青葉山 93  ニホンイモリ 


 

 


 
での一場面。トウホクサンショウウオの子供(下)に、水面から目だけを出した不気味な黒い影が、にじり寄る。
ニホンイモリだ。

この沢に、繁殖のために戻って来たのだろう。

水辺から何kmも離れた山中で見つかるのが普通の、この種。体内の神経に、自分の生まれ故郷の「地図」が組み込まれており、必ず里帰りする*。

同じ両生類のサンショウウオまでえじきにしてしまおうとする。しかし敵もさるもの、最後の"秘密兵器"の毒液を体から発したらしい**。

イモリは、赤い腹をちらりとのぞかせ、逃げ去った。

イモリ科。体長10cmほど。

 

 
(河北新報社提供 初出 1991.6.25)

 


イモリ(アカハライモリ、ニホンイモリ)
Cynops pyrrhogaster BOIE
イモリ科

*イモリは水中生活をする期間の方が長く、陸上に上がるのは主に冬眠のためと考えられています。また、どれほど遠くまで移動するかはっきりしていませんが何キロも移動するとは考えられていません。

**日本産のサンショウウオが毒液を発するという話は疑わしく思われます。