シリーズ 青葉山 92  ヘビイチゴ 


 

4月に咲いた黄色い花。

その後、茎は長く地上をはい、ヘビイチゴは真っ赤に結実した。

毒々しい色の実のせいで、ありがたくない名前を付けられたこの植物*。毒性もないし、もちろん、ヘビが好んで食べるわけでもない。

勇気を持って、実を口に入れた。果汁も味もなく、おいしくない。妙なところで、名前の由来を納得した。

林縁では、タテハチョウ科のイチモンジチョウが、雨の当たらないホオノキの下で休んでいた。

 
(河北新報社提供 初出 1991.6.24)

 

ヘビイチゴ
Duchesnea chrysantha (Zoll. et Mor.) Miq.
バラ科

沢道、堤などの草地や路傍にふつう。

*ストロン(ほふく枝)を伸ばして地表をはい回る様からヘビイチゴの名がついた、との説もあります。出したストロンはどんどん伸長し、節からは根を出します。後に節間が枯れ、その先の節は娘個体として独立していきます。

イチモンジチョウ
Ladoga camilla L.
タテハチョウ科

季節が春から夏に移る頃、現れてくるチョウ。園内でも林縁等に普通のチョウです。仙台では年2化(5月末〜6月と8月)、場合により秋に第3化が見られます。白くて小さな花が密集して咲くような植物が好みのようで、ガマズミ、ヤブデマリ、ウツギ、ノリウツギ等で吸蜜しているのを見かけます。幼虫の食草はスイカズラ・タニウツギなど。「普通」すぎて、かえってわからないことが多い種類。