シリーズ 青葉山 88  クロヒカゲ 


 

雨がひと休みした。

すっかり夏景色の林内からは、青空が申しわけ程度にのぞいている。


目の前の木からクロヒカゲが勢いよく飛び出し、すぐ舞い戻った。

物陰に隠れて観察する。他のチョウが通る度に、後を追いかけてはまた戻る。相手を威嚇しているのだろうか。

 

これらの行動は、一定の空間を縄張りとして持つ、チョウの「占有行動」だ。雌が通り掛かるのを待って交尾しようというのだろうが、"彼女"はいつ通ることやら。

翅開張約5cm。山地性で年2、3回発生。

 
(河北新報社提供 初出 1991.6.18)

 

クロヒカゲ
Lethe diana Butler
ジャノメチョウ科

植物園では6月から夏にかけて見かけることが多いチョウです。
幼虫の食草はササ類です。