シリーズ 青葉山 87  モミジイチゴ 


 

−。

モミジイチゴは、冬芽を堅くして春を待っていた*。

 

そして春、四月中旬−。若葉が萌(も)え、白い花が咲き並んだ**。

 

再びその場所を訪ねる。

白い花は、黄色い果実に変身していた。その1cmほどの実を失敬して一粒、口に含んでみる。甘くておいしい。

動物も、この"自然がくれたおやつ"を好んで食べる。種子は消化しきれないので、ふんに混じって別の場所に移動する。

モミジイチゴは、実のおいしさと引き換えに、動物に「種子分散」を手伝ってもらうのだ。

 
(河北新報社提供 初出 1991.6.17)

 


モミジイチゴ
Rubus palmatus Thunb. ex Murray
var. coptophyllus A.Gray
バラ科

落葉低木。沢道などの路傍や林縁にふつう。

*→冬の日のモミジイチゴ(青葉山7)

**撮影の都合上、花が横を向いていますが、モミジイチゴの花は本来は下向きに咲きます。右側のつぼみの向きが正しい。これに似た花で上向きに咲くのはニガイチゴあたり。
モミジイチゴの花のつき方と
  そのおいしそうな実が実感できる写真はこちら →モミジイチゴの花と実