シリーズ 青葉山 84  ホオノキ 


 

 
葉山の他の植物を圧倒するような大きな葉と花。花の直径は20cmはあるだろう。

開花初日の花は雌しべの先端の「柱頭」が表れ、受粉可能になるが、雄しべの花粉は飛ばない。

2日目、雌しべの柱頭が閉じて受粉能力はなくなり雄しべから花粉が出る。

受粉は昆虫に頼る。開花初日に他の雄しべから花粉を運ばせて、"近親結婚"を避けようとしているのだ。

 


左は3月の芽。
4月中旬には葉を守っていた「托葉(たくよう)」と呼ばれる赤いコートを脱ぎ、若葉が開く。

(河北新報社提供 初出 1991.5.29)

ホオノキ
Magnolia obovata Thunb.
モクレン科

最上台付近などの明るい林内にふつう。

ホオノキの花の寿命は2-5日ですが、花ごとにばらばらに咲くので、1本の木の開花期間は1ヶ月にも及びます。花は蜜を全く分泌せず、甘い香りで昆虫を引き寄せます。昆虫は花粉をめあてに訪花しますが、花粉を出さない雌期の花にもだまされて引き寄せられ、受粉がおこります。いろいろな段階の花が木の上にあることも雌期の花に昆虫を呼ぶのに役立っているようです。

ホオノキは人間とかかわりが深い植物です。長さ40cmにもなる大きな葉は朴葉(ほうば)味噌、朴葉もち、朴葉寿司など様々な料理に、やわらかい材は「朴歯の下駄」と言われるように下駄や木版などに使われてきました。