シリーズ 青葉山 83  ヒメシャガ 


 

 
根筋に続く遊歩道は、風の通り道。風は緑濃い葉を揺すり、樹花の芳香を運んでくる。

 
足元に咲くかれんな花はヒメシャガ。

長さ30cmほどの花茎の先端で、気品のある淡紫色の花がたおやかに揺れている。大きさは約5cm。


よく見ると「花被片」と呼ばれる花びらが、内側と外側にそれぞれ3枚ずつ分かれて付いている。黄色い模様があるのが外側の花びらだ*。

和名は姫シャガ。同じアヤメ科のシャガに全体が似ており、それよりもかわいらしいところからこの名がついた。

やや乾いた林床に生える多年草。

 
(河北新報社提供 初出 1991.5.28)


ヒメシャガ
Iris gracilipes A.Gray
アヤメ科

見晴台周辺などのコナラ林やアカマツ−コナラ林にふつう。

アヤメの仲間はカキツバタやハナショウブに代表されるように、水辺の植物というイメージがありますが、生育地はかなり多様で、アヤメやヒメシャガのように比較的乾燥した土壌を好む種も存在します。

ヒメシャガは庭に植えられているのを見かけることがありますが、野外では減少傾向にあるようです。環境庁が97年の夏に取りまとめた新しい植物版レッドリストで「準絶滅危惧(NT)-現時点では絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」に移行する可能性のある種」に指定されています。

*→ ヒメシャガの花のアップ
→ 園内の貴重な植物(ヒメシャガ)