シリーズ 青葉山 81  ベニシジミ 


 

 
い森から、一匹のチョウが飛び出した。そっと後を追ってみる。俊敏な動きで付近を飛び回り、日の当たる林の縁に止まった。

 


 
チョウは産卵を始めた。背丈の低い草*に潜り込むように、腹部を下げている。

幼虫で越冬したベニシジミ。年数回発生するが、今産み付けられた卵は、夏にはさなぎになり羽化する。

 

 
スイバなどが幼虫の主な「食草」だ。"親"は食卓の上空を旋回し、ねらった場所に一個ずつ卵を産む。

ベニシジミが止まった斜面では、ホオノキの花が満開だ。

翅開張約3cm。

(河北新報社提供 初出 1991.5.24)


ベニシジミ
Lycaena phlaeas ssp. daimio Seitz
シジミチョウ科

ベニシジミは最も普通のシジミチョウの一つで、春から秋までほぼ連続的に見られます。今飛んでいるのは第一化の春型で、この後はより暗色の夏型になります。日当たりの良い草原が好みで、ハルジオン、ヒメジョオン、シロツメクサなど路傍の帰化植物に訪花・吸蜜することが多く、目にする機会の多い昆虫です。幼虫の食草は上記の通りスイバ属で、スイバ、ヒメスイバ、ギシギシがよく用いられるようです。

*左側に写っているほこ型の緑の葉はまさにヒメスイバです。