シリーズ 青葉山 74  ミヤマセセリ 


 


 
上を覆う青葉が幾重にも重なり、ほの暗い林内はヒンヤリするほど。

 

わずかに木漏れ日の当たるニガイチゴに、ミヤマセセリが舞い降りた。

林内で生活するミヤマセセリにとって、日の当たる場所は、いわば"生命線"。体温が下がると極端に活動が鈍るため、羽を広げ体温を高める必要がある。

 

チョウの足先には、蜜(みつ)の甘さなどを感知する器官がある。"センサー"が働いたのだろう、花びらの根元にある蜜腺(せん)にストローのような口吻(こうふん)を伸ばして蜜を吸い始めた。

翅(し)開張約4cm。春に発生。

 
(河北新報社提供 初出 1991.5.16)

 


ミヤマセセリ
Erynnis montanus Bremer
セセリチョウ科

九州以北の日本全土に分布し、幼虫はコナラ、クヌギ、カシワなどのブナ科樹木の葉を食べます。

ミヤマセセリは春先もっとも早い時期に目にすることのできる昆虫のひとつです。4月、注意して探すと植物園でもまだ林の木々が葉を広げる前に、落葉樹林の落ち葉の上でひなたぼっこをしている姿を見つけることができます。