シリーズ 青葉山 65  ミツバアケビ 


 

 


当たりの良い林縁でミツバアケビを見つけた。バッコヤナギの幹につるを巻き付けて、樹冠部まで伸びている。

 

葉柄の基部から垂れ下がっているのが花。濃い紫色の花びらのように見える萼(がく)を開いているのが雌花。その下に伸びているのが雄花で、雌雄が別々に咲く「単性花」だ。

 

秋、ぱっくりと口を開けた甘い果実は、人間だけでなく、テンやキツネのような肉食獣にとっても貴重な"デザート"になる。

 

仙台市周辺などで通称アケビと言っているのはこの種のこと*。

 

(河北新報社提供 初出 1991.5.4)

  

 


ミツバアケビ
Akebia trifoliata (Thunb.) Koidz.
アケビ科

つる性の落葉木本。一号道路沿いなどの林縁にふつう。

*植物園内にはミツバアケビに近縁な、アケビ (Akebia quinata (Thunb. ex Murray) Decne.) も自生しています。ミツバアケビはアケビよりも分布がやや北方よりで東北地方に多く見られます。

かごや玩具など民芸品(アケビ細工)の素材としてはアケビよりも折れにくいミツバアケビのほうが適しているとされています。アケビ、ミツバアケビとも果肉だけでなく、若芽や果皮も食べることができます。ほろ苦い味がします。