シリーズ 青葉山 63  ムササビ 


 


が沈み、森の樹木が闇(やみ)に溶け込んだ。

「ジーッ、ジーッ」異様な鳴き声が聞こえ何かが空を飛んだ。

バンドリ(ムササビの異名)だ。葉を広げ始めた木に飛び降り、枝先を折って口に運んでいる。

食べていたのはイタヤカエデの若葉と花。カエデ科の木を好んで渡り歩く。 クリックで少し大きく
杉の木を登るとき、長い尾が見えた。前後の足を開き"皮幕"を広げ、尾でバランスを取りながら滑空する。

All photos by 
Kahoku Shimpo.

翌朝、イタヤカエデの木を見ると、折られた枝先から白い樹液が染み出していた。

体長約40cm。

 
(河北新報社提供 初出 1991.5.1)
 


ニッコウムササビ
Petaurista leucogenys nikkonis
リス科

日本のムササビは3亜種に分けられています。本種は東北地方〜長野県の低山の森林に生息しており、針葉樹の大木の洞に巣をつくります。飛膜によって60mから200mも飛ぶことがあります。尾で舵をとります。夜行性であり、夜の園内でモミやスギの大木の先に止まり、ギャーギャーと大声で鳴くのが聞こえます。植物食で果実・若い木の芽・ドングリなどを食べますが、昆虫も食べます。食性が幅広いので、生息密度は樹洞の数で決まっているようです。

昔、夜の植物園近くに車を停めていた人が、「森の方で誰かが殺されている声がする」と警察に通報し、大騒ぎになった。たしかに、そのようにも聞こえる声の持ち主。