シリーズ 青葉山 53  イワウチワ 

露に濡れた薄いピンクの花が、ひっそりと咲いていた。ハイカーも足を踏み入れない40度を超える急斜面。マンサクの枝につかまってよじ登った。花をのぞく。花びらの先はノコギリ状に割れ、その先端から水滴が落ちた。
山地の林や岩場などに自生する。丸い、直径3cm程の葉が"ウチワ"に似ているのが和名の由来だ。
近くの林で、つい最近まで飛び回っていた冬鳥たちも、ほとんど姿を消した。間もなく、夏の鳥が渡って来る。落葉樹の枝先では葉芽が割れ、広がり始めた

(河北新報社提供 初出 1991.4.12)


イワウチワ
Shortia uniflora (Maxim.) Maxim. var. kantoensis Yamazaki
イワウメ科

離山や亀岡道沿いのコナラ林内やアカマツ−コナラ林内、北西向き急斜面にややまれ。肉厚で常緑の葉が特徴。実際には、花被の先がもう少し赤くなります。仙台では人里近くに生えているため、乱獲されて減りました。