シリーズ 青葉山 51  シュンラン 

夏のような日差しの中で、シュンランを見つけた。ランの中では一番早く咲く花だ。二つの赤い斑点がある「唇弁(しんべん)」が垂れ下がっていた。花弁の発達したもので、蜜(みつ)を吸いに訪れた虫たちが出入りする、いわば"滑走路"だ。飛来した虫は、必ずこの唇弁に止まらなければ蜜を吸うことはできない。

 

雄しべには「花粉塊(かふんかい)」が作られている。無数の花粉を塊にして、虫に効率よく運んでもらおうとする、植物の「知恵」だ。

虫の行動に最適の構造を自ら造り出したシュンラン。"最も進化した花"と言われるゆえんだ。
(河北新報社提供 初出 1991.4.10)

シュンラン
Cymbidium goeringii (Reichb.fil.) Reichb.fil.
ラン科

離山などの明るい林床にややふつう。