シリーズ 青葉山 4  イイギリ 


 
↑クリックでちょっと大きく(52K)
閑とした林を歩く。人の歩かない山道に積もった落ち葉が、時折吹く風に足元から逃げていく。稜(りょう)線に出ると、にぎやかな鳥の声が耳に飛び込んできた。急斜面*に立つイイギリの赤い果実を狙って、20羽以上ものヒヨドリの群れが、ピーヨピーヨと鳴き叫びながら激しい争奪戦を展開中だった。えさ不足のこの季節、果実を好む鳥たちにとって、ブドウのようにたわわに実を付けるイイギリは絶好の"食卓"になりそうだが、なぜかヒヨドリしか食べにこない**。暖冬***で例年よりも長い間、実を付けていたイイギリ。厳寒期を迎え、落果する数が日ごとに増えてきた。

(河北新報社提供 初出 1991.1.24)


イイギリ
Idesia polycarpa Maxim.
イイギリ科
落葉高木。本沢、深沢、裏沢などの谷筋にふつう。

* 沢沿いの斜面から谷底にかけて多いようです。
  イイギリは、光と水の要求性が高い種類です。→モミ林断面図参照
** 他の鳥も食べますが、たしかにヒヨドリが多いようです。
*** 暖冬は、もはや、ほとんど毎年のことになりました。


ヒヨドリ
Hypsipetes amaurotis
スズメ目 ヒヨドリ科

全国で広く繁殖し、個体数が多い鳥です。北方や山地のものの多くは、冬に群れで暖地に移動します。平地の都市部から山地の森林まで木のある所に生息しています。市街地の木に営巣するようになったのは1970年代以降のことで、都市化の例として注目されています。繁殖期には大形の昆虫を好んで食べます。県内では1年中普通に見られますが、北方のものが南下する際に数百単位の大きな群れが通過します。園内でも周年見られ、繁殖しているようです。