シリーズ 青葉山 3  ヤブコウジ 


 
きなアカマツの下、冬の柔和な太陽に赤く熟したヤブコウジの実が輝いている。

(C) Kahoku Shimpo.

 
枯色一色の冬、ルビーのような実でひっそりと装った姿は、古くは万葉歌人の心をくすぐり、
ヤマ(ヤブ)タチバナなどと詠み親しまれた。

太陽が雲につかまり、あたりはにわかに紗(しゃ)をかけたように薄暗くなった。

実の輝きも曇った。

雲が去るのを、もうしばらく待っていよう。

 

(河北新報社提供 初出 1991.1.23)


ヤブコウジ
Ardisia japonica (Thunb.) Blume
ヤブコウジ科

10-20cmの常緑小低木。正月の飾りに欠かせず、園芸種として栽培され始めたのは江戸中期。この写真の生育地は、ヤブコウジとしてはかなり明るいようです。ふつうは、もっと暗い場所に住んでいます。