シリーズ 青葉山 35  セリバオウレン 

気に誘われ"春"を探して林を歩いた。モミの大木の下で白い花を付けているのはセリバオウレン。根元に、名前の由来になったセリに似た葉を広げている。落ち葉の下で冬を越した葉は青々としているが、露出していた葉は雪や霜によって葉緑素が分解し、赤茶に変色していた。

直径1cmほどのセリバオウレンの小さな花。通常は雄しべと雌しべの両性を持つ花を咲かせるが、土中の養分などが不足している場所では雄しべだけという極端な例もある。

花が咲き終る4月初旬、新しい葉の芽出しに前後して古い葉はその使命を終えて枯れてしまう。

(河北新報社提供 初出 1991.3.19)


セリバオウレン
Coptis japonica (Thunb.) Makino
var. dissecta (Yatabe) Nakai
キンポウゲ科

モミノキ道周辺などのモミ−イヌブナ林やモミ林の暗い林床にややふつうに群生する。