シリーズ 青葉山 32  ウスタビガ 


 

緑色の鮮やかな繭が、陽光に浮かんでいる。ウスタビガの繭だ。表面に黒っぽい卵が付いている*。

 

 

 

ウスタビガの羽化は、他のガよりも遅く10月ごろ。そのため、成虫はすぐに冬を迎え、樹木や自らの空繭に卵を産んで、その一生を終える。

ここに産み付けられた卵は、去年の「家主」のものだろうか。羽化の季節になったら、また、ここに来てみよう。旅立ちの瞬間が見られるかもしれない。

 

 

 

森の中でよく見かけるウスタビガの繭。成虫は雌の方が大きく、翅(し)開張11cm。雄は9cmほど。

 

(河北新報社提供 初出1991.3.15)


ウスタビガ
Rhodinia fugax (Butler)
ヤママユガ科
* メスが繭から羽化すると、すぐにオスが飛んできて交尾をします。そしてメスは、自分が抜け出たばかりの繭や近くの枝に卵を産みつけます。とにかく冬が迫っているので、すべてがせわしない生活史。卵はそのまま越冬します。