シリーズ 青葉山 2  イヌブナ 


 

葉広葉樹のほとんどが葉を落とした冬の林。イヌブナの葉は、風に乾いた音を立てて、まだ枝にしがみ付いている。

葉を枝から切り離す役目をする「離層」が発達しなかったのだ*。

春まで葉を残すことの多いイヌブナ。

その枝に、堅い衣に覆われた「冬芽」を見つけた。

褐色の芽は、風に震えて、葉を広げる日をじっと待っている。

 
近くにヤマガラが飛んできた。

樹皮に付いた虫や、草のたねを探している。

(河北新報社提供 初出 1991.1.22)  


イヌブナ
Fagus japonica Maxim.
ブナ科

→イヌブナの詳しい解説

モミ−イヌブナ林の亜高木層で優占し、モミ−コナラ林、コナラ林、アカマツ−コナラ林にふつう。植物園の植生をひとことで言えばと聞かれたら「モミ−イヌブナ林」と答えます。主役2種が、これで出揃いました。

*生理的な連結は、少なくとも切断されているのでしょう。道管がつながっていれば体内の水がどんどん蒸発してしまうし、師管がつながっていれば葉に栄養をとられてしまい、植物は困ってしまうからです。