シリーズ 青葉山 25  ルリビタキ 


 

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からの帰り道、低木の中からギュッギュッという声が聞こえた。

 

歩みをとめて注視すると、尾を小刻みに振りながら、ルリビタキのメスが忙しく動き回っていた。背面が鮮やかなるり色のオスに比べると随分地味な色だ*。

 

ルリビタキは夏の間、標高約1000m以上の針葉樹林帯で繁殖し、冬になると低山まで下りてくる「漂鳥」だ。人をあまり恐れないが、もっぱら暗い斜面などにいるため、ほとんど目にとまることはない。

 

太陽も山の端に隠れ、ササやぶの中で地鳴きを繰り返していたウグイスも静かになった。モミの森に夜のとばりが下りてきた。

 

(河北新報社提供 初出 1991.2.20)


ルリビタキ
Erithacus cyanurus
スズメ目 ヒタキ科

全長14cm。北海道・本州・四国の亜高山帯の針葉樹林で繁殖し、冬には山麓・丘陵や暖地に移動します。シラベ・コメツガ・オオシラビソの林によくいます。主として昆虫やクモを餌とし、冬の低地では植物の実を食べています。蔵王では木の梢でさえずっていることも珍しくありません。園内で多くが見られるのは「さらに低地に下りるものが園内を通過する秋」と「山へ帰っていくものが通過する晩冬」の年2回です。園内で越冬するものもいますが、数はわずかです。

* 「植物園付近でみられる動物たち」のルリビタキのイラストは瑠璃色のオス。

なぜ、オスの方が派手なのか? メスが配偶者を選り好みするからだ、というのが「進化生物学的」答えです。このテーマを解説した本や番組は山のようにありますから、詳しくはそれらをご覧下さい。どのような過程で進化してきたのかについては、依然としてよくわかっていません。