え込んだ朝、霜柱を踏みながら森を歩く。ザクッ、ザクッ。過ぎ去った幼いころを思い出す、懐かしい音と感触だ。 |
一面に霜が降りた山道で"砂糖菓子"を見つけた。息を吹きかけると砂糖は、みるみる溶けていく。顔を出したのはカキドオシ。ハート形をした葉の上で、生まれたばかりの水滴が朝の光を浴びて踊っている。 |
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初夏、淡い紫色の小さな花を無数に付け、辺り一面に芳香を漂わせるカキドオシだが、"冬眠中"のこの季節は、シソ科特有の香りがほのかにするだけだった。 |
和名の「垣通し」は、つるを垣根の向こう側まで伸ばす意から付けられた。 |
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