シリーズ 青葉山 189  ジョウビタキ 


 
 

 
ッヒッ。低木の中から、短い口笛のような鳴き声が聞こえてきた。


姿を見せたのはジョウビタキ。

アムール川流域などからやって来る冬の渡り鳥だ。小枝に止まり、尾を小刻みに振っている。

鳥は、どうして渡りの時期を知るのだろうか*。これまで専門家の間では諸説あったが、現在は遺伝子に組み込まれた体内時計と太陽高度との関係が、定説となっているようだ。例えば冬の渡り鳥は、秋分が過ぎ、太陽の南中高度が下がり始めると「渡りの衝動」が起きるのだという。

全長14cm。

(河北新報社提供 初出 1991.11.29)

ジョウビタキ
Phoenicurus auroreus
ヒタキ科

雄雌でそれぞれ縄張りを持ちます。繁殖のためではなく冬季に餌を確保するための縄張りです。「じょう」とは翁の意で、(写真でははっきりとしませんが)銀色をしているオスの頭部を銀髪の翁に例えたのでしょう。

* 全ての鳥が同じメカニズムで渡りを行っているわけではありません。メカニズムとして重要なのはホルモンで、この働きにより換羽(長距離移動をするために良い羽をそろえる)をしたり脂肪を蓄えて渡りにそなえます。ホルモンを制御しているのは日長です。