シリーズ 青葉山 188  サラサドウダン 


 
 

 
葉と同時に開いたかわいらしい釣り鐘状の花は、5月のさややかな風に揺れていた。


小さな虫たちの働きが報われ、サラサドウダンは数え切れぬほどの実を結んだ。
北斜面のせいだろうか、本来は鮮やかに紅葉するはずの葉が、実を残したまま、一枚また一枚と木枯らしに飛ばされていく。

越冬場所を探しているクヌギカメムシの動きも、緩慢になってきた。

「もう冬だよ」


ツツジ科の落葉小高木。

(河北新報社提供 初出 1991.11.28)

サラサドウダン
Enkianthus campanulatus (Miq.) Nicholson
ツツジ科
亀岡道沿いなどのアカマツ-コナラ林にふつう。

花や紅葉が美しいため、観賞用に広く栽培されます。小正月の団子花(豊穣の願いをこめてミズキの枝などに餅や団子をつけ花が咲いたようにかざる風習)の材料に使う地方もあるようです。園内では、前庭のトイレの脇に植えられているのものと、望洋台付近の道脇にものが観察しやすいでしょう。美しい花を訪れる昆虫は小型のハナバチが中心です。