シリーズ 青葉山 186  オオイヌタデ 


 
 

 
の当たる明るい林。コナラやウリハダカエデの葉が落ち、乾いた音を立てて飛んでいく。「バサッ」と大きな音はホオノキの葉だ。

道端に季節はずれの花を見つけた。

よく見ると、茎や葉は既に、茶色に変化している。

オオイヌタデの花期は普通6月から10月。しかしこの株は開花期が遅すぎたため、花が咲いた状態で枯れてしまったのだ*。

花に花弁はない。枯れ野に美しい淡紅色は萼(がく)。長さは3mmほどだ。

白い花を咲かせるものもある。

高さ2mにもなるタデ科の一年草。 

(河北新報社提供 初出 1991.11.26)

オオイヌタデ
Persicaria lapathifolia (L.) S.F.Gray
タデ科
工学部ポンプ室周辺などの草地や路傍にふつう。

小さな花がびっしりついた長い房のような花序が特徴です。意外に多くの昆虫が飛んで来て、受粉を助けます。冬を迎えた個体は種子を落とし、軸だけの姿になっています。今までに見た一番大きい個体は5万粒ぐらいの種子をつけていました。土の中で何年も眠ったまま過ごしている種子も多く、土がかきまわされると発芽してきます。こうした性質や、窒素栄養に敏感にすばやく成長することなどが、この植物を典型的な「畑地雑草」にしています。街なかの空き地や河原にも沢山現れます。

* 写真に写っている花のほとんどは実っていることでしょう。Persicaria属の花被は種子ができた後も、それに張りつくようにして残るので、花の時期がまだ続いているかのように見えます。つまり、花の色が長く楽しめる種類です。