キクガシラコウモリは典型的な洞窟性コウモリです。洞窟は休息、休眠、冬眠の場所として利用され、冬眠期のねぐら、活動期のねぐら、出産・子育て期のねぐらというように季節的に使い分けられているようです。エサは大型〜中型のガ、ゲンゴロウ、コガネムシなどの甲虫、セミ、アブなどで、昆虫の捕食者として森林生態系の中で重要な地位を占めています。
* 「樹洞」とはフクロウ、リス、ムササビなどが巣やねぐらとして利用しているような木にあいている穴のことです。樹洞を利用するコウモリは別にいるので、洞窟を利用するキクガシラコウモリにこの表現は正しくありません。植物園には亜炭採掘跡とみられる穴が多数のこっており、キクガシラコウモリにねぐらを提供しています。上の写真もその穴のひとつのようにみえます。 → 関連の記述
コウモリ類は、分布範囲が限られ個体群が細分化されていること、その環境が特に悪化していることなどから多数の種で絶滅が心配されています。環境庁が1998年6月に公表した新しい動物版レッドリスト(ほ乳類・鳥類)によると、絶滅のおそれがある日本のほ乳類47種のうち31種がコウモリ類です。