シリーズ 青葉山 183  アカマツ 


 

 

 
びえ立つアカマツ。亀甲模様の樹皮が、暖かみを失った太陽に輝く(上)。

枝先の松かさ

 は"ファジー"な機能を持つ果実だ。
雨が降れば閉じ、晴れて大気が乾燥すると開く。そうして、アカマツの種子は"旅立ち"を果たす。

翼付きの種子は、冬の北西風に乗って、一路東へ。東、東へと増え続け、しまいにアカマツすべてが太平洋に没する? なんてことにはならないそうだ。

マツ科の常緑高木。

(河北新報社提供 初出 1991.11.21)

アカマツ
Pinus densiflora Sieb. et Zucc.
マツ科
アカマツ-コナラ林の高木層で優占する。アカシデ林にもふつう。

アカマツは日本に自生する木の中で最もありふれた木のひとつです。人間活動によりその分布を広げた種のひとつで、乾燥地、荒廃地によく生育するという性質により、人手が加わった集落周辺の森林に広く分布するようになりました。

有名な宮城県の松島をはじめ日本各地には松の名所がたくさんありますが、これらの林が近年マツ枯れ病により壊滅的な被害を受けています。病原体のマツノザイセンチュウは明治の末に北米から持ち込まれ、マツノマダラカミキリに乗って西日本から次第に各地に広がりました。最近は東北地方南部でも被害が深刻になりつつあり、園内に生育するアカマツにも枯損が目立ちます。これに対して、線虫の伝播を防止するため被害木を伐採して薬剤処理し殺虫する対策を行っています。