シリーズ 青葉山 170  シバグリ 


 

 

 
々としたイガを夏空に向けていたシバグリの実も、今は積み重なった落ち葉の上。

夜ごと、野ネズミが食べに来るのでイガの中は空っぽだ。

 

果皮が変形した鋭いイガだが、野ネズミは中の実だけを上手に引き抜いていく。

 

日なたぼっこ中のヤマカガシが、足音に驚いて逃げ去った。

ヘビは寒いのが大の苦手。

気温が低くなるこの季節、活動は昼間に限られる。

(河北新報社提供 初出 1991.11.6)

シバグリ(クリ)
Castanea crenata Sieb. et Zucc.
ブナ科

望洋台周辺などの明るい林内や林縁にふつう。

栽培クリの元になった野生種をシバグリと呼んでいます。クリは日本で最も古い栽培植物のひとつに数えられ、特にイネの栽培が始まるまではその重要性が高かったようです。例えば、青森県の三内丸山遺跡では集落の発達に対応して約4000年前の地層からクリの花粉が大量に検出され、集落の周囲でクリを栽培していたのではないかと考えられています。

クリの雄花は強烈なにおいを放ち、花粉を集めにさまざまな小昆虫(アブ、ハエ、小型のハチ、甲虫など)が集まって来ます。ただし昆虫による送粉の有効性には疑問があり、ネットをかけて花から虫を排除しても結実することから、風による花粉散布の重要性も指摘されています。