シリーズ 青葉山 165  ツタ 


 

 

 
カマツ林を抜けると急に視界が広がった。柔らかな日差しの中、タテハチョウやシジミチョウの仲間が羽を広げ休んでいる。

こけむした岩肌。ツタの枝がからみつくように生えていた。

葉の反対側から出た巻きひげの先端にある吸盤で岩に吸いつき、縦横に勢力を伸ばしている。


別名ツタモミジと呼ばれるように、まもなく鮮やかな紅葉になる。

落葉のころ先に葉片が、その後に葉柄が落ちるという変わった特徴を持つ*。

 
ブドウ科のつる性植物。
(河北新報社提供 初出 1991.10.29)

ツタ
Parthenocissus tricuspidata (Sieb. et Zucc.) Planchon
ブドウ科
本沢源頭付近などの石垣や林縁にふつう。

ツタの巻きひげは先端が吸盤になっており、コンクリートの垂直な壁でもよじ登ることができます。この性質を利用して、建物やコンクリート壁の壁面の緑化に使われています。中でも有名なのは甲子園球場でしょうか。
ツタがヨーロッパに移入されたのは一説には1862年とされており、石造りの家の壁をツタが覆っている風景は比較的新しいものなのかもしれません。

* ツタの紅葉は美しく、日当たりの良いところでは紅色、日陰では黄色になります。紅葉した後はまず葉身だけが脱落し、棒状の葉柄が突き立つ姿が見られます。葉柄はその後遅れて脱落します。