鳥の地鳴きも聞こえない早朝の森。白い息が、いつもの朝よりも一層濃く見える。
山道のわきに生えたアブラツツジ。滑らかな灰色の幹を目でたどると、かっ色の枝先で、直径4mmほどの果実が白い薄絹をまとって震えていた。ルーペでのぞくと五つに裂けた果皮の中には堅い種子が入っている。指で軽くつまむと、種子は乾いた音を立てて足元に落ちた。
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(C) Kahoku Shimpo.
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西斜面のこの辺り、日照時間が短いためかアブラツツジの赤い冬芽もまだ堅い。南斜面のマンサクは、もう開花しただろうか。
(河北新報社提供 初出 1991.2.7)
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