シリーズ 青葉山 144  サワヒヨドリ 


 

 

 
縁や開けた地形の野原は、キク科植物の"
王国"。紫色のノコンギク*、白いシラヤマギクなどが咲き誇っている。

 

 

日当たりの良い湿地に生えているのは、同じキク科のサワヒヨドリ。

茎の上部に多数の花をつけた様子は、遠くから眺めると薄紅色の綿帽子をかぶっているようだ。

 

花に近づいてみる。筒状の小さな花冠から飛び出た雌しべの細い花柱が綿毛のように見えたのだろう。

先端の柱頭が2つの割れ、昆虫たちが運んでくる花粉を受け入れる態勢は既に整っている。

高さ1m近くにもなる多年草。白い花もある。

(河北新報社提供 初出 1991.9.12)


 


サワヒヨドリ
Eupatorium lindleyanum DC.
キク科

湿った草地にまれ。中島池跡**周辺にやや多数生える。

ヒヨドリバナ属の植物は形態に変異が多くしばしば分類が困難です。原因のひとつに無性生殖を行う倍数体***の存在があります。2倍体のサワヒヨドリやヨツバヒヨドリが広く分布している無性生殖性のヒヨドリバナ倍数体と雑種をつくり、この子孫がさらに2倍体と交雑を繰り返して中間的な特徴を持つ無性生殖型倍数体を作り出しています。

* ノコンギク

** 中島池跡

*** 1つの細胞に3組以上のゲノムを持つ個体。動物はそのほとんどが2組のゲノムを持つ2倍体ですが、高等植物には3倍体、4倍体などの倍数体が比較的多く見られます。倍数体は一般に2倍体に比べて大型で、光をめぐる競争の上で2倍体よりも有利であるとされています。