シリーズ 青葉山 13  イヌシデ 


 

筋を歩いて行くと、突起物がたくさん付いた木が目にとまった。

 

近づいてみると樹齢80年ほどのイヌシデだった。"イボ"のように見えたのは、実は無数の「不定芽」の塊。普通、芽は枝先から出るが、樹勢が衰えてきたりすると、幹からも新たに芽を出して回復を図ろうとする*。

落ち葉をかき分けて、昨秋落下した実を拾った。葉のように見えるのは苞(ほう)。付け根の種子を保護する役目をしている。

 (河北新報社提供 初出 1991.2.5) 

イヌシデ
Carpinus tschonoskii Maxim.
カバノキ科

 落葉高木。見晴坂などのコナラ林や林縁、路傍にややふつう。


* これの極端な姿が仙台市の街路樹のケヤキ。今度街を歩いたときに見てください。幹の下の方から無数に細かい枝が出ている個体が多いです。枝を伸ばしても、片端から剪定されてしまうからでしょうか。それとも、やはり全体に調子が悪くなってきているのでしょうか。こうして回復しようとする力があるだけ、まだ元気だとも言えるのですが。

■ モミ、カラスザンショウ、イヌシデ…。どうしても下から見上げたアングルの写真が多くなります。植物園は、起伏に富んだ地形に密に生えた森の中を、なるべく壊さないように細い道をつけた施設です。植物園として保護の網がかかって以来、木々は大きく育ち、森の見通しは悪くなりました。枝葉は、私たちの視線より随分上の方に行ってしまいました。一本の木の全体を他から区別してとらえようとすると、空をバックに下から見上げる絵になりがちです。