シリーズ 青葉山 12　　オオバクロモジ　

　
小
雪の舞う林に、オオバクロモジが生えていた。枝先の冬芽は心なしか赤みを増し、少しずつ膨らんでいる*。樹液が動き、芽も動き始めたようだ。

枝先中央の細長い芽は「葉芽」。取り囲む三つの丸い「花芽」。四月には黄色の花が咲き、葉がそれに続く。

ヤブニッケイ(シナモン)と同じ仲間の樹木。その香りは、昔から多くの風流人に愛されてきた**。

つやのある樹皮を、つめの先で、ちょっとだけこすると、まだ冷たい立春の空気に、何ともいえない芳香が漂った。

　

(河北新報社提供　初出　1991.2.4)
オオバクロモジ
Lindera umbellata Thunb.
var. membranacea (Maxim.) Momiyama
クスノキ科
落葉低木。園内全域の明るい林内や林縁にふつう。

*　この記事の初出が91年の2月4日。しかし、今年(98)の1月初め、すでに同じ状態にあるような…。やはり暖かいのでしょうか。本格的な寒さはこれからなのだから、芽の早すぎるほころびはとても危険です。(98.1.3 記)
**　高級な楊枝(ようじ)として使われるので有名ですね。