シリーズ 青葉山 115  カラスアゲハ 


 

 

 
縁では、ネムノキが南国的な明るい紅色の花を開いている。この花が咲くと、雑木林の木の花のカレンダーもほとんど終わりになることを知ってか知らずか、カラスアゲハが盛んに飛び交っては、蜜の食事中だ。

一匹のカラスアゲハが、足元の岩に舞い降りた。
 
「カラス」と名は付いているが、羽は真っ黒ではなく、青緑色に輝く鱗粉(りんぷん)を"シック"にまとった美しいチョウだ。

チョウは、この鱗粉の違いでそれぞれの模様になり、仲間や交尾相手を見分ける目印になる*。また、雨をはじくレーンコートの役目もする。

翅開張8-12cm。

 

 (河北新報社提供 初出 1991.8.3)

 

カラスアゲハ
Papilio bianor Cramer
アゲハチョウ科

* カラスアゲハのように翅の地色が黒のアゲハチョウ類では、オスがメスを探す最初の段階の手がかりは「黒い色」です。アゲハチョウ科のオスは雌雄を視覚的には識別できず、「黒い色」をもとにオスにもメスにも接近します。前足で翅に触れ、化学物質を感知するなどしてメスを識別しているようです。

一方、シロチョウ科のチョウ(例えばモンシロチョウ)は視覚的に、翅を紫外線で見たときの雌雄の違いによりオス・メスを識別できます。