シリーズ 青葉山 104  オオウラギンスジヒョウモン 


 

 

 
ョウブの白い花が、ところどころに咲き始めた。そこに狙いをつけて、オオウラギンスジヒョウモンが舞い降りた。猛獣のヒョウに似た模様が、リョウブを舞台に踊る。

真夏を迎えると、このチョウはなぜかぱったりと人目から消える。もともとは北方から南下してきたこの種、夏の暑さには適応していないため、特別に"夏休み"をとるらしい。

遠くでは、夏を告げるセミたちも鳴き始めた。青葉山も本格的な夏を迎える。

翅開張約7cm。山地性で年1回発生。


 

 (河北新報社提供 初出 1991.7.22)

 


オオウラギンスジヒョウモン
Argyronome ruslana Motschulsky
タテハチョウ科

仙台周辺では普通に見られるチョウですが、どちらかと言えば北方系の種で、西に行くほど高地に分布が偏ってきます。幼虫の食草はタチツボスミレで、他のスミレ類からは記録がありません。青葉山ではノアザミ、ヨツバヒヨドリ、オカトラノオ等で吸蜜しているところをよく見かけます。

上述の通り、8月になるとぱたりと姿を見なくなります。これは大型のヒョウモンチョウほとんど全てに共通していて、夏眠するためと考えられていますが確実な証拠はありません。高地や寒冷地では盛夏も活動が見られることから、移動しているのではないかともされています。研究者人口が多いチョウですらこんな状態で、日本における昆虫のNatural History研究の不十分さを思い知らされます。

→ リョウブ(青葉山58) 冬芽と芽吹き、リョウブの説明はこちらにあります。