分子クラスターを観る

私たちの興味の対象であるクラスターは真空中にごく微量生成するものであり、勿論肉眼では見ることが出来ません。そこで私たちは様々なレーザーによる分光法と質量分析手法や微弱光検出法を組み合わせてクラスターの構造や性質の解明を行っています。私たちの研究室は化学の研究室ですが、試験管は全くなく、ビーカーやフラスコもほとんどありません。その代わり、レーザー、ミラー、プリズム、真空槽、そして計測用電子機器が私たちの実験室の主役です。一見すると物理の実験室にしか思えませんが、私たちは分子とその集合体であるクラスターに興味を持つ化学者です。

レーザーは分子の性質を調べるのに非常に強力な手段です。私たちの研究室は真空紫外から赤外光まで多種多様な光を自在にかつ同時に扱う技術を備えた世界でも数少ないグループの一つです。私たちは新しいレーザー分光手法の開発や展開を積極的に行っており、いくつもの先端的レーザー分光法が当研究室で開発され、あるいは新たな応用先を見いだされています。その中には世界で標準的に使用されるようになったものもあります。