当研究室は、前身の原子力材料加工学部門の発足から60周年を迎えました。そして、笠田が当部門の6代目の教授として2017年10月に着任して以来、2年が過ぎたところです。この間、近藤准教授、余助教、そして多くの学生を迎えることができました。
当研究室では、原子力や核融合炉のような極限環境下で用いられる構造・機能材料の創製と先進評価・分析手法を駆使した耐環境性発現機構の解明を目指した研究を進めています。このために必要な基本的な材料実験装置類は2年余りでかなり充実しました。また、金研内の共用装置群もフルに活用して研究を進めています。
2020年1月現在、当研究室に最初に配属された学部4年生2名が、卒論研究を鋭意進めているところです。ひとりは、自ら作り出したセラミックス材料の特性評価を進め、また、もうひとりは、材料の性質を明らかにするための新しい分析手法の開発を進めています。卒業研究において、研究者として必要となる知識や考え方を習得することは勿論のこと、加えて社会人として生きていくための武器となりうる課題解決能力やコミュニケーション能力を学んでいます。2代目となる学部3年生は、講義や学生実験に追われながらも、研究室環境整備に関するプロジェクトや、卒業研究に関わる勉強を始めています。もちろん、大学院生諸君も研究に邁進し、既に研究会や国際会議において優秀発表賞を受賞するツワモノも現れています。また、ある学生は、研究成果をもとに教員と共同で特許出願を果たしました。
さて、学生諸君が研究室に期待することは様々かと思います。私は、その期待が理不尽なものでない限り最大限応援したいと考えています。若い研究スタッフが揃っている新しい研究室であるためか、留学生や外部からの進学者のみならず、本学内部生を含めて、当研究室において自らを高めよう、何かスゴイことをしてやろうと言う志の強い学生が揃っています。まだ、ナニモノでもない研究室において、ナニモノでもない皆さんが化学反応を起こし、爆発的なナニカを生み出すことがあるかもしれません。
当研究室では、原子力や核融合あるいはエネルギー問題という社会とは切り離せない研究テーマを取り扱っているため、科学技術コミュニケーション活動も重視しています。私は、一般向けのLEGOを用いたワークショップや、研究者向けのワークショップのファシリテーションに関する経験と、北海道大学科学技術コミュニケーター養成プログラム(CoSTEP)での学びに基づく科学技術コミュニケーターとしても活動しています。最近は、これまでのエネルギー科学技術コミュニケーション活動に加えて、材料科学技術コミュニケーション活動への展開を模索しております。研究にまい進したい学生はもちろんのこと、このような社会活動に協力してくれる学生も大歓迎です。
当研究室に少しでも興味を持った方は、一度研究室に見学に来ることをお勧めします。マッチングとは、専門分野や研究内容だけで決まるものでも有りません。研究室の空気を肌で感じることによって何かピンと来るものがあれば、それは人生をより豊かなものへと変えるチャンスかもしれません。かつて本学、そしてこの研究室の学生だった私が言うのですから間違いありません。
皆さんとお会いすることを楽しみにしております。片平キャンパスの金属材料研究所1号館6Fでお待ちしておりますので、見学希望者は事前にご連絡ください。
2020/1/24 笠田竜太(量子サイエンスコース協力講座・教授)