2022年度研究室配属に向けて

笠田が2017年10月に着任して以来、4年半になろうとしています。この間、近藤准教授、余助教、奥野助教を迎えて、スタッフはフルメンバーとなり、2022年4月の段階で既に2名の博士号取得者を世に送り出しております。また、修士課程修了者も既に9名(うち留学生6名)を数え、そのうち5名(うち留学生3名)が博士後期課程に進学しております。このように、笠田研所属の学生の特徴として、博士後期課程進学率が日本人と留学生を問わず高いことが挙げられます。また、修士で学業を終えて世に出た学生の多くも、国際雑誌に第一著者として論文を出版しており、基本的に研究志向が高い、あるいは配属後に高くなった言えます。

2022年4月段階で、当研究室には博士課程後期の学生が6名(社会人1名含む)、博士課程前期の学生が6名、学部4年生が2名が所属することとなり、金研においては比較的大所帯の研究室となっています(とはいえ金研の充実した面積利用のお陰で、密を避けた居室環境を維持できております。)。

当研究室では、原子力や核融合炉のような極限環境下で用いられる構造・機能材料の創製と先進評価・分析手法を駆使した耐環境性発現機構の解明を目指した研究を進めています。原子力、核融合炉、加速器のような量子サイエンス分野における科学技術を基軸としつつ、新しい材料を自ら開発したり、未知の物性を明らかにしていくような材料工学研究を進めています。粉末冶金法による独自の酸化物分散超合金の開発、SiC等のセラミックス材料の開発において、特徴的な成果を挙げるとともに、超微小試験技術と呼んでいるマイクロメートルサイズの試験片を用いた力学特性評価法や、X線分光法などを駆使して、高エネルギー環境で耐えうる材料の実現に向けた研究を行っています。

原子力や核融合あるいはエネルギー問題という社会とは切り離せない研究テーマを取り扱っているため、科学技術コミュニケーション活動も重視しています。私は、北海道大学科学技術コミュニケーター養成プログラム(CoSTEP)での学びに基づく科学技術コミュニケーターとして、一般向けのLEGOを用いたワークショップや、研究者向けのワークショップのファシリテーション等の実践もしています。最近は、これまでのエネルギー科学技術コミュニケーション活動に加えて、材料科学技術コミュニケーション活動への展開を模索しております。研究にまい進したい学生はもちろんのこと、このような社会活動に協力してくれる学生も大歓迎です。

さて、新型コロナウイルスが猛威を奮う中で、3年生以下の学生諸君は遠隔講義の受講と課題の提出に追われるだけでなく、課外活動も満足にできない状況が続いてきたことと思います。一方、研究室においては密を避けつつ、研究活動を持続しています。残念ながら学会発表もWEBとなっている状況ですが、多くの学生が優秀発表賞を受賞するなど、コロナ禍に負けずに活躍を見せております。博士課程後期の学生はもちろんのこと修士の学生も国際学術誌に論文を出版するケースも増えてきております。更に学内においても多くの賞を受賞するなど、私が言うのも何ですが、ウチの学生達はかなり「輝いている」と思います。当研究室は、比較的若い研究スタッフが揃っている新しい研究室であるためか、留学生や外部からの進学者のみならず、本学内部生を含めて、やる気に満ちた学生さんが多く所属しているという印象です。色々なタイプの学生が研究に対する姿勢だけは他に負けないように頑張っているように見えます。

研究室選びを始める中で、研究室というものが正直よくわからないという学生諸君も多いことと思います。特に、機械知能・航空工学科に入学した皆さんにとっては、量子サイエンスコースに配属され、その中で片平キャンパスの金属材料研究所という、よくわからないところについては不安も多いでしょう。金属材料研究所は、本学でも最も古い歴史を誇る研究所であり、理学部や工学部の他の学科の協力講座となっている20以上の研究室があります。研究所で活躍する学生の様子は、こちらの特設サイトからご覧になれます。

当研究室に少しでも興味を持った方は、笠田教授までアポをとってみてください。BCPレベル2である現在、研究室見学も事前予約の上可能ですし、ZOOM等でのWEB経由での面会も随時受け付けています。マッチングとは、専門分野や研究内容だけで決まるものでも有りません。研究室や所属学生の雰囲気を感じることによって何かピンと来るものがあれば、それは人生を違うものに、あるいはより豊かなものへと変えるチャンスかもしれません。かつて本学、そしてこの研究室の前身の研究室の学生だった私が言うのですから間違いありません。

皆さんとお会いすることを楽しみにしております。

2022/2/4 笠田竜太(量子サイエンスコース協力講座・教授)

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