2021年度研究室配属に悩む３年生諸君へ

当研究室は、笠田が2017年10月に着任して以来、3年半が過ぎたところです。この間、近藤准教授、余助教、奥野助教を迎えて、スタッフはフルメンバーとなり、2021年3月には最初の博士後期課程ならびに博士前期課程（修士）の修了生を送りだしました。

2021年5月現在、当研究室には博士後期課程の学生が４名（社会人１名含む）、博士前期課程の学生が１０名、学部４年生が２名が所属しており、金研においては比較的大所帯の研究室となっています（とはいえ金研の充実した面積利用のお陰で、密を避けた居室環境を維持できております。）。

当研究室では、原子力や核融合炉のような極限環境下で用いられる構造・機能材料の創製と先進評価・分析手法を駆使した耐環境性発現機構の解明を目指した研究を進めています。原子力、核融合炉、加速器のような量子サイエンス分野における科学技術を基軸としつつ、新しい材料を自ら開発したり、未知の物性を明らかにしていくような材料工学研究を進めています。原子力や核融合あるいはエネルギー問題という社会とは切り離せない研究テーマを取り扱っているため、科学技術コミュニケーション活動も重視しています。私は、北海道大学科学技術コミュニケーター養成プログラム（CoSTEP）での学びに基づく科学技術コミュニケーターとして、一般向けのLEGOを用いたワークショップや、研究者向けのワークショップのファシリテーション等の実践もしています。最近は、これまでのエネルギー科学技術コミュニケーション活動に加えて、材料科学技術コミュニケーション活動への展開を模索しております。研究にまい進したい学生はもちろんのこと、このような社会活動に協力してくれる学生も大歓迎です。

さて、新型コロナウイルスが猛威を奮う中で、３年生以下の学生諸君は遠隔講義の受講と課題の提出に追われるだけでなく、課外活動も満足にできない状況が続いてきたことと思います。一方、研究室においては密を避けつつ、研究活動を持続しています。残念ながら学会発表もWEBとなっている状況ですが、ここ１年で多くの学生が優秀発表賞を受賞するなど、コロナ禍に負けずに活躍を見せております。また、現４年生は、３年生時に片平という立地を活かして、遠隔講義を研究室で受けていることが多かったようです（所属３年生は、コロナ対策を徹底の上で当研究室のゼミ室を随時利用できます。）。私が言うのも何ですが、ウチの学生達はかなり「輝いている」と思います。

研究室選びを始める中で、研究室というものが正直よくわからないという学生諸君も多いことと思います。良い例となっているかどうか怪しいですが、研究室というところは（少なくとも当研究室は）、小規模のマイナー文化系クラブ活動に近いかもしれません。あるいはバンド活動でしょうか。研究成果という作品を世に送り出すために、スタッフと学生が協力してそれぞれの得意なことを伸ばしたり活かしたりしています。音楽性の違いで最終的に進む道が分かれることはあるかもしれませんが、所属している間は同じ釜の飯を食らう（今は言葉通りのことは難しいですが）仲間として、高めあう関係にあります。日常会話から高尚な話まで、価値観の異なる同世代のみならずオトナと対話できる機会が常に転がっています。音楽性（研究テーマの志向？）の一致はもちろん大事ですが、このような日常の場を共有できそう、共有したいと思えるかどうかも、研究室選びにおいては重要かもしれません。あるいは、学生諸君が研究室に期待することもあるでしょう。私は、その期待が理不尽なものでない限り最大限応援したいと考えています。比較的若い研究スタッフが揃っている新しい研究室であるためか、留学生や外部からの進学者のみならず、本学内部生を含めて、当研究室において自らを高めよう、何かスゴイことをしてやろうと言う志の強い学生が揃っています。

当研究室に少しでも興味を持った方は、笠田教授までアポをとってみてください。BCPレベル2である現在、研究室見学も事前予約の上可能ですし、ZOOM等でのWEB経由での面会も随時受け付けています。マッチングとは、専門分野や研究内容だけで決まるものでも有りません。研究室や所属学生の雰囲気を感じることによって何かピンと来るものがあれば、それは人生を違うものに、あるいはより豊かなものへと変えるチャンスかもしれません。かつて本学、そしてこの研究室の前身の研究室の学生だった私が言うのですから間違いありません。

皆さんとお会いすることを楽しみにしております。

2021/7/31改訂　笠田竜太（量子サイエンスコース協力講座・教授）