米国オークリッジ国立研究所 派遣報告 (D2 齋藤隼輝)

日米科学技術協力事業FRONTIER計画 米国オークリッジ国立研究所 派遣報告

笠田研究室D2 齋藤隼輝

こんにちは、笠田研究室D2の齋藤隼輝です。私は2025年1月から3月中旬まで、日米科学技術協力事業FRONTIER計画の一環で、アメリカ合衆国テネシー州にあるオークリッジ国立研究所 (ORNL) で核融合炉用材料の研究に取り組んできました。今回は、研究所の様子と現地での生活について報告させていただきます。

まず、オークリッジ国立研究所 (ORNL) について紹介します。ORNLは1943年、第二次世界大戦中の原子爆弾開発・製造計画であるマンハッタン計画の拠点の一つとして作られた研究施設です。現在は米エネルギー省 (DOE) 傘下の国立研究所として、原子力エネルギーを中心に様々な科学技術の研究が行われています。私は、その中のMaterials Science and Technology DivisionにおいてDr. Koyanagi の指導のもとで核融合炉構造材料に関連する研究に取り組みました。Dr. Koyanagiのサポートのおかげで、限られた時間の中で複数の実験を行うことができ、よいデータを取得することができました。今回の派遣で実施した実験の結果は、今後解析を進め、論文として報告したいと考えています。

花壇の植え替えのタイミングにあたってしまい、石碑以外は何もなかった…。
大戦中のORNLの様子や作業員の生活の様子を伝えるK-25 History Center。日本とアメリカの原子爆弾に対する考え方の違いを垣間見ることもできた。

さて、ORNLでの研究生活で特に印象的だった点は、研究所全体で安全に対する意識がとても高い点です。特に、私のような外部機関の人間 (特に学生) が一人で実験室での作業することは原則できず、職員の方の監督が必要でした。実験室で作業する前には必ず安全講習を受講し、ORNLからの承認を得なければならないなど、安全に研究を進めるために様々な施策が行われていました。実験室が整理されていた点も印象的でした。実験室が整理整頓されていると、目的の器具や装置を探す手間が省け、余計な動作が減って事故のリスクを低減できると思います。大学の実験室は何かと散らかりやすいですが、一人ひとりの作業効率の改善や安全性の向上のために、やはり整理整頓は欠かせないと感じました。

Dr. Koyanagiの管理する装置をお借りして実験。

 ここからはアメリカでの生活において、特に印象に残った3つの出来事を紹介したいと思います。

まず1つ目は、サマータイムの切り替わりに現地の人がきっちり追従していた点です。私が滞在していた期間はちょうどサマータイムとの切り替わりの時期に重なっており、ある日突然自分の体感時刻と時計の示す時刻が1時間ずれる、という現象を体験しました。日本にいると絶対に経験しない事態に体が追い付かず、非常に戸惑ったのですが、現地の人たちは切り替わる前の日と変わらない時刻に研究所に来て仕事を始めていて、さすがに現地に住んでいる人たちは感覚が体に染みついているのだろうと感じました。

 2つ目は、気温変化の激しさです。ORNLのあるテネシー州はアメリカの中でも特に内陸に位置しており、一日の気温差も月ごとの気温差も激しい場所でした。一日の気温差が20˚C近くあったり、雪が降った次の週に半袖で過ごせるような気温になったりと、目まぐるしく気候が変化し、日本から持ち込んだ服では対応しきれず、現地滞在中に服を3回購入しました。気候変化への対応力やバイタリティが海外生活では不可欠であると強く感じました。

3つ目は、現地の人のフレンドリーさです。お店に入ったときに店員の人が挨拶してくれたり、研究所の食堂ではレジの人と世間話ができたりと、現地の人が積極的に話しかけてくれたことが印象に残っています。何日か笠田研の作業着を着ていた日があったのですが、食堂のレジの人には「いいジャケット着てるね !」と言ってもらえました。全然知らない相手にも声をかけてくれるフレンドリーさは、日本ではあまりない、現地の素敵な部分だと感じました。

  ほかにも書きたいことはたくさんあるのですが、文量も多くなってしまうので、あとはこの記事を読んだ方が自ら現地に行って確かめていただけたらと思います。日本と違う環境の中で3ヵ月生活して、以前より些細なトラブルにも動じなくなったかな、と感じているところです。このような貴重な機会を与えてくださった研究室やFRONTIER計画に関わる先生方、現地でサポートしてくださった方々や派遣元である核融合科学研究所の職員の方々、金銭面でサポートしてくださった家族にこの場を借りて感謝を述べたいと思います。ありがとうございました。

 これから海外で研究生活をしたいと思っている後輩諸君にむけて、ひとつだけメッセージです。ビザの取得については本当に注意して行ってください! わからない部分は遠慮せず周りの海外生活経験者に相談して、そして最新の情報に基づいて準備しましょう。皆さんの海外滞在が楽しく実りあるものとなることを祈っております。

ほとんどの公園に備え付けのBBQグリルがあり、網と炭、食材さえあればBBQ可。
ガンプラ発見! 現地の人たちのガンプラ愛好家コミュニティがあるらしい…。
日本ではなかなかお目にかかれないデカいジャガイモ。長さ 20 ~ 30 cmくらい。

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