東北大学

東北大学研究推進本部 URAセンター

ホーム>文系URA新企画「教員インタビュー」


教育学研究科劉靖准教授の研究室をご訪問しました(2023年11月29日更新)

本日(11月8日)は、東北大学教育学研究科劉先生の研究室にご訪問し、研究と教育について劉先生にお話を伺いました。

Q1:研究を始めようと思ったきっかけは何ですか?

劉先生:まず自己紹介させていただきます。生まれは北京です。日本に来たのは2003年でした。学部生の時、南山大学で交換留学をしました。2007年から名古屋大学修士課程に入り、2013年3月に博士課程を修了しました。 人生の大きな変化となったきっかけは、南山大学での在学中、ゼミ教員の上野宏先生との出会いです。先生は30年間世界銀行で勤務し、そのあと南山大学に入りました。そこで、私はゼミで貧困について勉強し始めました。

上野宏先生との写真
元々中国で受けた教育から、特に教育不平等に関心を持つようになりました。 中国の大学はランキングにすごく重視し、日本で留学を始めてから、不平等教育を研究し、2018年にそれに関する博士論文を基にしてまとめた本を出版しました。

『Inequality in Public School Admission in Urban China: Discourses, Practices and New Solutions』(Springer、2018年5月)

私は、楊東平教授(中国教育制度改革専門者)の研究を基にして博士論文を完成しました。博士時期にこのような研究をしながら、不平等教育を無くすということを自分の大事なこととしています。 質の高い教育を皆さんと共有することを目指して教育と研究をしています。
また、私は日本に来てから多くの留学の機会を頂きました。D1の時に殆ど日本にいなくて、半年バンコク、半年アメリカに留学しました。 特に、アメリカでより一層不平等な教育制度を感じ、自分の研究にどう活かすか、留学の前後で研究課題にも変化が生じました。


Q2:どういう思いを込めてこの教育活動を続けていますか?

劉先生: 卒業後、名古屋大学で現地調査の授業を任されました。学生を海外、特に途上国の農村地域に連れていき、体験させるというプログラムを企画していました。例えば、学生を連れてカンボジア、フィリピン、タイ、ベトナムなどの国に行くことが、彼たちにとってはいい経験だし、 食べ物と文化と人にどのような繋がりがあるのかなどは、やっぱり重要な経験だと思います。
東北大学に着任した後、早速海外教育演習という授業を実施し、中国の四川省に学生を連れて行きました。予算は部局のもので、学校の訪問を通して中国の教育現状を理解することが可能となり、歴史的な場所へも行くことができました。

全部先生一人で学校を探して色々手続きをされましたか?
劉先生:はい、予算がないので、一人でやるしかないですね。学生のホテルから航空券まで全部こちらで調達します。 各訪問先の連絡もそうです。コロナの時期に、海外教育演習は全てオンラインになってしまいましたが、コロナのおかげで色々な可能性が生み出されました。 例えば、中国の清華大学とオンラインを利用して学際的な新しい授業をこれから立ち上げる予定です。両大学から単位を取得できます。 また、来年の3月にはバンコクのチャイナタウンに現地調査に行き、学生自らの目を通して課題を見つけることを目指します。 今回は学生たちがショートムービーを作ることを報告書の代わりにする予定です。
もう一つですが、大学のファンドで研究支援事業を行っています。3年前からスタートし、教育資源バンク@東松島市矢本東小学校というプログラムです。 日本国内の小学校のエコシステムをどうやって作るのか、東北大学環境学の先生と、東松島市のNPO団体が関わってくれて、現地の教育基盤づくりのシステムを作り上げ、子どもと保護者に提供します。
 
   
 in 東松島市矢本東小学校

臼澤URA清華大学教育学部に訪問されたようですが、そこで学生教育だけではなく、異分野連携や産学連携、大学外との連携など、感じたことがありますか?
劉先生:今は、環境学の先生との連携しつつ、いわゆる研究だけではなく、書籍を出版することを考えております。 清華大学はものすごくランキングを重視するので、来年は新しい書籍出版のプログラムが立ちあがります。 毎回テーマが決められ、全学の研究者もし興味があれば誰でも出版ができます。

臼澤URAオンラインでの学習ですが、新しい特別なもの、例えばアバターを使ったりなど、何がありますか?評判はどうですか?
劉先生:学生たちが討論する時に、先ほど先生が仰ったソフト(アバター)を使いました。一番基礎的な機能を使用しています。 また、清華大学のグローバルランニングに入っていますので、我々の授業の録画を学生全員が視聴可能です。

Q3:将来に向けて何かを挑戦してみたいことがありますか?

劉先生:今のところ、私はこのプロジェクトを通して違う分野の研究者と連携して共同研究をしたりするなど色々な可能性があるかと思います。 今は、例えばゲーム会社との連携をしたいですね。本当にこれが将来に向けて挑戦したいことです。でも、まだまだ自分の友人とアイディアを共有している段階です。 また、私は地域開発や、地域おこしに対してとても興味を持っています。
農村地域開発、日本の農村生活などを学生に理解してもらうために、学生に指導するという授業を担当したことがあります。 以前農村に移住することも考えたことがありますし、このような研究を将来にやってみたいと思います。

 
   
劉先生研究室の片隅

劉先生、インタビュー大変お疲れ様でした。

※東北アジア研究センター人社サロンの教員インタビュー。下記よりご覧ください。
http://www.cneas.tohoku.ac.jp/jinsya/interview/