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シリーズ 青葉山 22  ツクバネ 

クバネの果実を見つけた。
名の由来通り、羽子板でつく羽根に似ている*。四方に大きく広げているのは、葉の変形した苞(ほう)だ。ツクバネは自分で光合成をして養分をつくる一方、"生きる条件"として必ず針葉樹などの根に寄生しなければならない「半寄生植物**」だ。傍らに立つモミの大木は宿主だろうか。

最後の一つになったこの実が、4枚のプロペラを回転させながら風に乗って旅立つ日も近い。枝をかすめるそのかすかな音が、春の遠くないことを告げてくれるはずだ。

(河北新報社提供 初出 1991.2.16)


ツクバネ
Buckleya lanceolata (Sieb. et Zucc.) Miq.
ビャクダン科

雌雄異株の落葉低木。園内全域の林内にふつう。

* じつはバドミントンより難しい「羽根突き」遊びを、最近ご覧になったことがありますか? 「この果実によく似た羽根を使った遊びが、昔あった」という方が、むしろ普通になりました。この写真の果実には三角形のクモ(?)らしきものがとまっています(→もっとアップの写真)。果実の標本は当園展示室にも展示してあります。 

** 発芽してからしばらくは独立栄養。その後モミやスギなど針葉樹の根に寄生します。「半寄生」とは言うものの、寄生できなければ死んでしまうことが多いようです。ビャクダン科の近縁に、やはり半寄生で有名なヤドリギ科などがあります。